金融庁が発表した平成29年(2017年)の税制改正で最も注目されたのは「つみたてNISAの開始」でした。
つみたてNISAに関しては「つみたてNISA(積立NISA)とは?現行NISAとの違い、移行方法など」をご覧下さい。
しかし、実はつみたてNISA以外にも大きな変更がありました。
それがNISAとジュニアNISAのロールオーバーの上限額撤廃です。
我が家ではNISA口座は開設していましたがジュニアNISAは開設していませんでした。しかし、今回のロールオーバーの上限額撤廃をうけて色々なメリットがあると考え、我が家でもジュニアNISAの口座を開設することにしました。
と、いうことで今更ではありますが、
- ジュニアNISAとは何か?
- ジュニアNISAとNISAの違いは?
- ロールオーバーとは何か?
- ロールオーバー上限額撤廃による影響は?
- ロールオーバー上限額撤廃を受けて今後取るべき投資戦略は?
についてまとめてみました。
我が家では、子供用のお金を将来の貯蓄として、銀行の口座に眠らせておくのは”もったいない”と考えています。”もったいない”というより、インフレが起きることによって貯蓄が目減りしないよう、リスクヘッジしておきたいと考えております。
そういった意味でもジュニアNISAをうまく使っていきたいですよね。ジュニアNISAを検討している方の参考になれば幸いです。
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAとは、2016年4月から始まった子供向けのNISA(少額投資非課税制度)のことです。
ジュニアNISAの4つの特徴についてご説明します。
【ジュニアNISAの特徴】
- 0歳から19歳まで口座開設が可能。
- 非課税枠は年間80万円、非課税期間が5年間
- 18歳まで払い出し制限あり
- 口座開設期間は2016年〜2023年だが、20歳までは非課税で運用可能
0歳から19歳まで口座開設が可能
ジュニアNISAの口座開設の対象年齢は0歳から19歳までです。口座開設は1人1口座であり、1度開設すると、金融機関の変更はできません。
ちなみに、実際に運用するのは口座開設者本人ではなく、両親・祖父母等の二親等以内の親族が代理で実施します。
本人でも運用は可能ですが「未成年者による取引として法定代理人の同意が必要」等、手続きが必要となります。
必要な手続きは証券会社によって異なりますのでご注意ください。
非課税枠は年間80万円、非課税期間が5年間
非課税枠は年間80万円で非課税期間が5年間です。トータルで最大400万円の非課税枠となります。
非課税となる対象は、株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益です。
【注意点】配当金の受領方法によっては課税されてしまう
配当金の受領方法は、「株式数比例配分方式」にしないと非課税となりません。その他の方式を選ぶと、ジュニアNISAの口座でも課税されます。
「株式数比例配分方式」とは配当金を証券会社の取引口座で受け取る方式です。(名前だけ見るとすごく難しそうですが、非常に単純です)
「株式数比例配分方式」の詳細な説明は以下URLのQ14をご覧下さい。
参考ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)に関するQ&A Q13,14
なお、「株式数比例配分方式」以外には、「配当金領収証方式」と「登録配当金受領口座方式」があります。
配当金の受け取り方法の詳細は以下の記事をご覧下さい。

18歳までは払い出し制限あり
ジュニアNISAは口座開設者が18歳になるまで、非課税で払い出しを行うことができません。「18歳になるまで」とは、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日までです。
もし、18歳になる前の途中で払い出しを行う場合、ジュニアNISAで受け取った過去の利益に対しても課税され、ジュニアNISAの口座が廃止されます。
ただし、災害等やむを得ない場合には、非課税での払出しが可能です。
口座開設期間は2016年〜2023年だが、20歳までは非課税で運用可能
ジュニアNISAの口座開設期間は2016年〜2023年です。2023年以降は子供が20歳になるまで”継続管理勘定”という形で非課税での運用が可能となります。
この”継続管理勘定”は新しく株や投資信託等の買い付けができず、継続管理勘定に入っている株や投資信託等の売却のみ可能です。
しかし、先ほどご紹介した通り、売却で得られたお金は子供が18歳になるまで払い出しは行えません。
ジュニアNISAとNISAの違い
ジュニアNISAの概要についてご紹介したところで、ジュニアNISAと一般NISAの違いについてもご紹介したいと思います。
ジュニアNISA | NISA | |
対象者 | 0歳〜19歳 | 20歳以上 |
年間投資上限額 | 80万円 | 120万円 |
非課税期間 | 5年間 | |
購入可能期間 | 2016年4月1日から 2023年12月31日まで | 2014年1月1日から 2023年12月31日まで |
購入可能商品 | 株式や投資信託等の配当や譲渡益等 | |
払い出し制限 | 18歳まで払い出し制限 | なし |
金融機関の変更 | 不可 | 年単位で可 |
運用口座の管理 | 親権者等が代理 | 本人 |
制度終了後の 措置 | 2024年以降も 20歳までは非課税 | なし |
非課税枠はNISAが最大600万円であるのに対して、ジュニアNISAが最大400万円です。また、ジュニアNISAの場合は「18歳まで払い出し制限がある」や「金融機関の変更ができない」等、一見すると、ジュニアNISAの方がデメリットが大きいように見えます。
しかし、ジュニアNISAの場合、2024年以降も20歳までは非課税というメリットがかなり大きいです。
子供が小さい場合はNISAよりもジュニアNISAの方が非課税期間が長い
ジュニアNISAの場合、前述の通り”継続管理勘定”により、子供が20歳までは非課税で運用可能です。そのため、制度終了から子供が20歳になる間のどこかで売却すれば、非課税となります。
NISAの場合は、制度終了の2023年までに株や投資信託等を売却する必要がありますが、ジュニアNISAは子供が20歳になるまで株や投資信託等を売るタイミングを見定めることができます。そのため、NISAよりもジュニアNISAの方が値上がり時に売れる確率が高くなります。
ロールオーバー上限額撤廃による影響
ここで、2017年より変更された「ロールオーバー上限額の撤廃」による影響についてご説明したいと思います。
ロールオーバーとは
そもそもロールオーバーとは、非課税での5年間の運用が終わった後に再度、非課税枠を使って5年間運用することです。
ジュニアNISAで5年間の非課税期間が終了した資産は、以下3つの中から選択して、今後の運用方針を決めます。
- 売却
- 通常口座(課税口座)へ移管
- ロールオーバー(再度5年間非課税で運用)
ジュニアNISAの制度終了まではロールオーバーが可能ですので、ロールオーバーはうまく利用した制度です。ロールオーバーについてもう少し詳しく知りたいという方は別サイトですが「NISA非課税期間を延長する裏ワザ・ロールオーバーとは」をご覧下さい。
これまでのジュニアNISAにおけるロールオーバーのデメリット
2016年までの制度では、ジュニアNISAで最大限ロールオーバーを活用しても、上限が80万円と決められていたため、80万円を超過する株式等は課税口座に移す必要がありました。そのため、せっかく株や投資信託が値上がりしても、値上がりした分は課税されてしまうというデメリットがありました。
ロールオーバーの上限撤廃による影響
しかし、今回のロールオーバーの上限撤廃により、年間80万円を超過してもジュニアNISAの口座で運用することができるようになりました。
これにより、株や投資信託が値上がりして80万円の上限を超過しても、課税口座に移す必要がなくなりました。今後はロールオーバーをうまく活用して、長期にわたって安定して値上がりする(であろう)金融商品を選択するのが良いかと思います。
つまり、投資の戦略として「ジュニアNISA口座を使った長期の積立・分散投資」を中心に考えた方が良いかなと思います。もともと、ジュニアNISAは子供用の資産形成を目的としているため、目的と制度の内容があってきたなという印象です。
ロールオーバーの上限額撤廃後に狙う株式とは
あくまで個人の見解ですが、これまでジュニアNISAで購入する株は「中期(5年〜10年)に上がる株」や「値崩れせずに、配当金や株主優待が狙える株」が良いと思っていました。
しかし、今後は長期の積立分散投資で複利効果の高いものが良いかと思います。また、その際、手数料や信託報酬のコストが抑えられた投資信託を購入していきたいと思っています。例えば、以下のようなものです。
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
- たわらノーロード 先進国株式
- 三井住友トラストアセットマネジメント 日経225インデックスe
- 三井住友・DC日本株式インデックスファンドS
私は先進国株式のインデックスファンドを中心に購入していこうと思っています。国内もインデックスを中心にしようと思っていますが、一部アクティブも混ぜようかなと思っています。(国内はアクティブファンドの運用成績もいいので。)
あ、投資は自己責任でお願いしますね。笑
まとめ
ここまで、ジュニアNISAとは何か、ジュニアNISAとNISAの違いは何か、NISA/ジュニアNISAのロールオーバーの上限撤廃による影響は何か等についてご説明してきましたが、改めてまとめたいと思います。
ジュニアNISAのロールオーバー上限撤廃まとめ
- 2017年よりNISA/ジュニアNISAのロールオーバーの上限が撤廃された
- ロールオーバーの上限撤廃により、ジュニアNISAでの長期の分散投資も検討する価値あり
- 特にジュニアNISAはNISAよりも売却を見定める期間が長いため(子供が18歳になるまで)、値上がり時に売れる確率が高くなる
ジュニアNISAの今後の期待
2017年の制度変更により、ジュニアNISAがかなり使いやすくなったと思います。ただし、まだまだ課題は残っています。
- 手続きが煩雑(申し込み時に住民票が必要)
- 金融機関の変更ができない 等々
NISAやジュニアNISAは毎年、制度が改善されていっているため今後も制度の変更に期待したいですね。
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