現在、ソフトバンクの回線を借りてサービスを提供している格安SIM(mvno)はありません。そのため、ソフトバンクのiPhoneなどのスマホを使っている人は格安SIMに乗り換えづらいという状況になっています。
ドコモやauの格安SIMはあるのに、なぜソフトバンクの格安SIM(mvno)はないのでしょうか。また、最近になって「ソフトバンクの格安SIMが提供されるかも!?」と言われているのではなぜでしょうか。
今回は「今までソフトバンクが格安SIM(mvno)を提供してこなかった理由は何か」と「今後発売される見込みはあるのか」についてまとめました。
なぜ、ソフトバンクの回線を使った格安SIMがないのか
ドコモやauの回線を借りた格安SIMはあるのに、なぜソフトバンクの回線を使った格安SIMがないのでしょうか。それには大きく2つの理由があると言われています。
ソフトバンクの回線を借りる料金はドコモやauに比べて高いから
格安SIMはドコモなどの携帯会社から回線を借りることで、サービスを提供します。この回線を借りる料金はドコモなどの携帯会社が自分たちで決めます。(総務省から色々と勧告が出たりするときもありますが、、、)
ソフトバンクも回線を借りるための料金を設定しているのですが、その料金はドコモやauに比べると、約1.5倍高くなっています。格安SIMは薄利多売の商売であるため、回線を借りる料金が高いと格安SIMを提供するための大きな足かせとなります。
現在ドコモの回線を借りた格安SIMが多い理由はドコモの回線を借りる料金が最も早く値下げしたからです。
ただ、少し前まではソフトバンクの回線を借りる料金は今の3倍以上ありました。その頃の料金に比べるとかなり値下げされています。
参考:ドコモのmvno接続料金はこちら
参考:ソフトバンクのmvno接続料金はこちら
Y!mobileがあるからソフトバンクがmvnoに乗り気ではなかった
ソフトバンクには、Y!mobileという格安SIMに近いサービスを行っているグループ会社があります。Y!mobileはmvnoではないですが、ソフトバンク等の携帯会社と比べて価格の安いサービスを提供しています。
Y!mobileにとってmvnoはライバルであり、ソフトバンクがmvnoを推進すると、競合が増えてY!mobileのシェアを奪われる可能性があります。そのため、ソフトバンクはmvnoにあまり乗り気ではないと言われています。
ちなみに、Y!mobileはソフトバンクの回線を使ったmvnoと勘違いしている方が多いですが、それは違います。Y!mobileは回線を借りなくても自分たちで回線を持っています。ソフトバンクやドコモらと同じmnoと呼ばれる会社です。
自分たちで回線を持っているため、ソフトバンクから回線を借りる必要もなく、ソフトバンクのmvnoではありません。そのため、ソフトバンクのiphoneにY!mobileのSIMを差し込んでも使えませんのでご注意ください。
ソフトバンクの回線を使った格安SIMが出てくると言われているのはなぜか?
これまで説明したように2つの理由でソフトバンクの格安SIMは提供されていませんでした。ただ、最近ソフトバンクの格安SIMが出るのでは!?と言われてきています。それには3つの理由があります。
ソフトバンクがmvno向けの接続料金を下げてきているから
先ほども説明した通り、ソフトバンクがmvno向けの接続料金を下げてきています。「接続料金を下げただけで格安SIMが出るとは限らないのでは?」と思われそうですが、実はauも同じような状況から格安SIMを提供しだしたという前例があります。
今ではauの回線を用いた格安SIMが提供されています。ただ、少し前まではauの回線を借りる料金も高く、auの格安SIMも販売されていませんでした。それがauの回線を借りる料金が徐々に下がってきて、auの回線を用いた格安SIMが出てきたということがありました。
そのため、auのケースと同じように、ソフトバンクがmvno向けの接続料金を下げてきていることから、ソフトバンクの格安SIMが出るのでは?と言われています。
格安SIMを提供する専門の会社を立ち上げたから
ソフトバンクはmvno事業を推進するという目的で、2015年6月にSBパートナーズという格安SIMを提供する専門会社を立ち上げました。ニュースリリースはこちら。
そのため、このSBパートナーズから格安SIMが提供されてるのでは!?と言われています。ただ、このSBパートナーズは2016年2月時点で特に目立った動きはなく、ニュースリリースも出ていない状況です。
総務省が規制緩和によりHLR/HSSの機能解放を検討しているから
2015年12月に総務省からHLR/HSSを「開放を促進すべき機能」という位置づけとし、事業者間の議論を加速すべきという方向性案が示されました。(総務省のタスクフォース資料はこちら)
このHLR/HSSの機能が解放されることによって、mvnoが独自にSIMの発行ができるようになります。それにより、docomoの回線を借りるとdocomo用のSIM、auの回線を借りるとau用のSIMとなっていたのが、mvnoが独自に発行したSIMでdocomoとauの回線を利用するといったことが可能となります。
ちなみに、日本通信という格安SIMの会社が2015年8月にソフトバンクに対してHLR/HSSの接続を申し入れを行っています。(日本通信のニュースリリースはこちら。)
ただ、申し入れを行ったが、議論がなかなか進んでいなかったということから、2015年12月に総務省から議論を加速するような方向性案を出したということにつながると思われます。
もし今後、議論が加速して日本通信の申し入れがソフトバンクに受け入れられると、日本通信からソフトバンクの格安SIMが出てくる!?可能性があるということです。
2016/12/15 追記
総務省がソフトバンクに対して、日本通信との協議を再開するよう命じました。

これまで日本通信は、ソフトバンクと格安simの提供に向けた協議が進まないため、総務省に対して接続拒否されたと申し立てを行っていました。その結果、総務省からソフトバンクに対して協議再開を命じたというわけです。
総務省がやれといって、ソフトバンクが嫌々対応したとして、接続はうまくいくのでしょうか。とはいえ、ソフトバンクの格安sim提供に日本通信が積極的になっているため、今後の動きが楽しみです。
ついに2017年3月22日から日本通信より格安SIMが販売されることとなりました。これによりSIMロック解除されていないソフトバンクのiPhoneとiPadでも格安SIMが使えるようになります。まだ詳細な料金や容量などは発表されていませんが発表され次第、本記事も更新したいと思います。
なお、現時点で公表されている情報の詳細は日本通信のプレスリリースを御覧ください。
日本通信より発売されるソフトバンクの格安SIMの詳細が発表されました。料金プランや販売店等については以下の記事をご覧ください。

まとめ
ソフトバンクの格安SIMが提供される可能性があるのは、今のところ2パターンです。
- グループ会社であるSBパートナーズから出る
- HLR/HSSの機能が開放されて日本通信から出る
日本通信では取締役会でHLR/HSSを導入することを決めています。ただ、IIJなどのその他mvnoではHLR/HSSの接続は「投資が大きいというコスト面」や「安定性やセキュリティなどの技術面」等の課題が残っていると指摘しており、導入することに慎重な姿勢をとっています。(詳細はこちら)
とはいえ、総務省の後ろ盾もあることから、2パターンのどちらが先にソフトバンクの格安SIMを出すのか、もしくは別の3パターン目があるのか、今後も注目していきたいと思います。
2015/3/5 追記
最近日本通信の三田会長が「ソフトバンクの回線を用いた格安SIMが出る」という内容のツイートをしました。いつ出るといった具体的なことは書いてませんが、楽しみですね。
それにしても、三田会長の日本語はわかりづらい。笑
2016/8/28 追記
ついにソフトバンクの回線を使った格安SIMが発売されました。ただ、ソフトバンクの端末であってもSIMロック解除は必要だそうです。詳細はこちらの記事を御覧ください。

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